私の心情(219)―資産活用アドバイス88-高齢ほど同じ資産額に対する満足度は高かった
1月11日にお届けしたブログ「私の心情217」の「保有資産額と満足度」では、年齢が高まるほどに同じ資産額でも資産水準の満足度は高くなるだろうという点をまとめましたが、今回はもう少し掘り下げて、実際のデータからそれがいえるかどうかを分析してみました。
資産が減っても年齢を重ねればそれほど満足度が低下しないのでは?!
改めて「私の心情217」で紹介した年代別の保有資産と満足度のイメージ図を振り返ってみます。下の図は、そのときよりも、もう少し分かり易いように書き直してみました。
ここでみていただきたいのは、グラフのなかでマーカーが●ではなくて■になっているところです。60代(緑色の折れ線)の時には資産水準はまだ多い(横軸の左側にある)と想定します。その際の資産水準の満足度は高め(緑色の■)となります。しかし、70代になるまでに生活のために引き出したことで資産が減っています(右側にシフト)が、その時の資産水準の満足度は70代の満足度の曲線(青色の折れ線)でみることになりますから、減少した資産水準に対する満足度は青色の■の水準に移ります。80代(紫色の折れ線)、90代(オレンジ色の折れ線)も同様に紫の■、オレンジの■をつないでみてください。資産水準は減少しているのに、その満足度はそれほど大きく低下していないと窺えます。
加齢に伴い満足度に対する視線も動いていく
別な見方もできます。同じ資産額でも、その水準に対する満足度は、60代より70代、さらに80代、90代の方が高いと考えられます。私は、とかく今の目線で満足度を考えていたために、資産額が減れば満足度は低下するものと想定していました。原則はその通りだと思いますが、年齢を重ねるたびに、同じ金額でもその後の余命の長さを考え合わせると満足度が高まることも想定できるのではないでしょうか。その時々の自分の目線に置き換えて、その時の資産額に対する満足度をみるという視点も重要だと思います。年齢に合わせて、満足度を感じる自分の目線も動貸していくというようなものでしょうか。
60代前半と後半の満足度の違い
ここからが今回の本題です。といってもグラフを1つ作っただけです。2023年2月に行った「60代6000人の声」アンケートで回答いただいた6503人の60代の「資産水準の満足度」を、60₋62歳の565人と67₋69歳の387人のデータを集計して、比較したのが下のグラフです。
このデータだけの結果ですから、普遍的なことを示しているわけではありませんが、60代でも前半と後半では同じ資産水準に対する満足度は違っています。総じて70代手前の人の満足度の方が高いことが示されています。例えば保有資産1501-2000万円の層(グラフでは1750万円の階級値)では、60₋62歳が2.70点ですが、67₋69歳は3.03点です。またその金額よりも多い資産の層では、すべて同じ資産額であれば67₋69歳の満足度の方が高いという結果になりました。
また60₋62歳の3001-4000万円の層(グラフでは3500万円の階級値)の資産水準満足度は2.99点ですが、67₋69歳の1501-2000万円の資産水準満足度は3.03点です。これは、60代になったばかりの人にとっての3000万円台の資産が、7₋8年で2000万円を若干下回る水準に低下しても、その満足度はほとんど変わらないとみることもできます。
資産水準の満足度を見る際には、資産額だけではなく、年代も考慮すべき大きな要素のようです。