私の心情(163)―お金との向き合い方55-スマホ・デバイド

携帯電話の機種変に苦労

デジタル・デバイドという言葉を聞くたびに、実は「私は使いこなせているので弱者の方じゃないはず」とずっと思いこんでいましたが、最近ちょっとその自信がぐらついています。金融の話と直結しないのですが、やはりデジタルは金融取引には欠かせないものになってきただけに、やはり自分のなかでの認識は重要な要素だと思っていました。

先日、母の携帯の機種変更をしたいと思って、いろいろと作業をしました。きっかけはマイナンバーカードをスマホに登録させてマイナポイントを受取るようにしたいとの母の希望からスタートしました。そもそもクレジットカードも使っていませんし、ましてQRコード決済も使いません。最近、近くのスーパーのプリペイドカードを使って1か月の生活費の管理がしやすくなったと喜んでいた程度です。そうなるとマイナポイントは、なかなか使い易いものではありません。郵便局の口座に振り込むのも手続きがそれなりに面倒のようですし。

課題⑴ :遠隔地の母のスマホを購入するには

今使っている高齢者向けの携帯は古くてマイナンバーカードの登録ができないというので、新しいスマホを買って東京から実家に送ろうと考えました。差し当たり、翌日、新宿の量販店に出かけました(この段階でスマホを使って情報を得ない点は既にデジタル弱者っぽい初動ですが)。そこでわかったのは母の携帯の番号を新しいスマホに移換すると、「今使っている母の携帯が使えなくなる・・・」とのこと。「それは当たり前だな」と思いなおしても、意外に不便だとわかり、やはりオンラインショップで購入する方がよさそうだと思い直しました。

課題⑵:オンラインショップでうまく買えない

オンラインショップから希望の携帯を購入して実家に送れば、あとはSIMカードを入れ替えるだけ。それは近所のわかる人にお願いする予定でした。

ところがオンラインで買おうとすると、いろいろやっても私のスマホから購入希望をすると、買い替えるスマホの電話番号は私の番号を認識してしまいます。それの解除の方法を理解するまでに、何度も作業を行い、上手くいかず、携帯電話会社とチャットをしても要領を得ず、スマホの文字入力に疲れ果て・・・・結局。その日は諦め。

課題⑶:本人確認ができない・・・

やっと母親の携帯番号で購入できるところまで来たのですが、その携帯番号に本人認証のための3桁の数字が送られることが判明。それを受取った母は、それがスマホのどこに届いたか識別できず、結局、翌日の昼間に、近所の方に確認していただける状況をアレンジして、改めて翌日にネットで注文して本人確認をすることにしました。

課題⑷:マイナポイントを活かせない高齢者向けスマホ

その間のやり取りで私の方はまたまた疲労困憊。やっぱり1₋2日、母には不便をかけても携帯ショップで該当するスマホを買って、郵便で送ろうと思い直して、翌日、予約をして近くの携帯キャリアのショップに。で、最初から「マイナポイントを取得するために・・・・」といきさつを説明すると、店員さんから「ちょっとお待ちください。ご購入されようとしている新しい機種でマイナポイントが受け取れるか確認しますので」といって奥に引っ込んでしまいました。なんか嫌な予感がしたのですが、案の定「購入されようとしている新機種でも高齢者向けのスマホはマイナポイントが取得できません」とのこと。

実は、私が使っている携帯キャリアのショップが扱っている高齢者向けのスマホでは、「おサイフケータイ」機能がついていないとのこと。この機能がついていないとマイナポイントが使えません。まあ金融トラブルが起きかねませんから高齢者にその機能を使わせないという“配慮”も仕方がないのですが、その一方で手厚いマイナポイントを付与する施策は、田舎に住む高齢者にはなかなか使える手段がないのでちょっと洒落になりません。

課題⑸:結局、ショップで買うことに

ところが、ある携帯キャリアの高齢者向けスマホだけにはその「おサイフケータイ」機能がついていることをショップの店員さんが教えてくれて、そのキャリアのショップ(幸いにも近くにありました!)に飛び込みました。ところがそのお店の入口近くの店員さんは「予約がなければご要望にお応えできません」、「一番早い予約で明日になります」とのこと。ちょっとむっと来たこともあって、同じキャリアの他のショップに電話を入れて翌日にアポイントを取って訪問。

最終的には、希望するスマホを購入することができ、実家の母に郵送することができました。

右往左往してわかったのは・・・・私のスマホ・デバイドの低さ

振り返ってみると、「ネットショップでおサイフケータイ機能付きのスマホだけを購入して送ればよかった」とわかったわけですが、現実には「対面のショップで買って郵送する」という結果になりました。

こうして自分に対する怒りを持って、右往左往した一連の経緯について書き記してみると、私自身はスマホで買い物をすることにはあまり慣れておらず、スマホ主流の時代に取り残されているかということでした。自分としては、パソコンは使いこなせているし、フィンウェル研究所のホームページだって日々に更新は何とかひとりでやっています。経理処理だって会計ソフトを使っています。でも世の中の主流がパソコンではなく、スマホに大きく変わっているということなのでしょう。

以前、厚労省の年金シミュレーションのアプリ開発で意見を聞かれた時に、「スマホ版からスタートしています」という言葉に、「確かに現役層にとってはパソコンよりもスマホだわな」って納得していたのですが、その枠の中に自分が入らなくなってきていることにちょっとした衝撃を受けました。

デジタル・デバイドではなく、スマホ・デバイドなら、私は確かに弱者の側だ。