私の心情(147)―お金との向き合い方46-成長する英国IFA業界

 

 

 

 

 

 

 

前回に続いて英国金融当局FCA(Financial Conduct Authority, 金融行為規制機構)が発表した、英国IFA業界の収益動向の集計結果を紹介します。

コロナ禍からの回復、継続的なサービスが柱

前回のブログでもご紹介したように、2021年のアドバイス業界の収益は大きく回復しました。アドバイス収入の総額は、継続的なアドバイスの提供が増えたことで、初めて50億ポンド台に乗せています(集計対象が異なることから「私の心情(146)―英国IFA、21年は売上げ22%UP」とは合計値が異なります)。2020年は足踏みしましたが、2016年と比較すると、この5年で74.7%増加したわけですから、業界が大きく伸びていることがわかります。

特に重要な点は、継続的なアドバイスによる収入が着実に増加している点です。コロナ禍の影響が大きかった2020年は初期アドバイス等が減少しましたが、継続的なアドバイスによる収入は増えていました。アドバイス・ビジネスの柱はやはり何と言っても継続的なサービスにあるということです。ちなみに、継続的なアドバイスを提供する顧客数も、毎年増加し、2021年末は321.1万人、前年比4.1%増となっています。2016年末の221.0万人から5年で100万人増加したわけです。

大手の伸びが顕著

英国の個人投資家向けの金融アドバイス業界は零細企業が多いことが特徴です。アドバイザー5人以下の企業が全体の9割を占める状況ですが、今回の収益の回復傾向は、大手ほど大きくなっていることが特徴です。

1社当たりの税引前利益をアドバイザー規模別で一覧にしてみると、大手企業の収益が大きく改善していることがわかります。50名以上のアドバイザーを抱える企業では、1社当たりの税引前利益は依然赤字ですが、2020年と比べると、200万ポンド弱の収益改善をみせました。

分類の対象となった企業数が増えていることも影響しているかもしれません。2020年は50名以上のアドバイザーを抱える企業は35社でしたが、2021年には51社に増加しています。これは中小のアドバイザー企業が大手と合併することで、コロナ禍への対応、アドバイザーの高齢化の進展といった課題に対応する流れが強まっています。

次回に続きます。