私の心情(118)―資産活用アドバイス47-60代6000人の満足度はどこから来るのか
ファイナンシャル・ウェルビーングを念頭に5つの満足度を分析
私の心情(115)で紹介した「60代6000人の声、第1弾~生活満足度:楽観的すぎないだろうか?」では、満足度に関して生活全般、健康状態、仕事・やりがい、人間関係、資産水準の5つの視点で聞いています。この5つを重回帰分析でその関係を調べてみました(図表集『「60代6000人の声」アンケート調査、第2弾~生活に関する満足度はどこからくるのか』を参照)。
Gallupのレポート*では、Well-being(良好な状態)をPhysical、Career、Social、Community、Financialの5つの構成要素で作られるとしています。そこで設問を設定する段階から、Well-beingを「生活全般の満足度」に置き換えて、60代という退職世代を念頭に置いて、Physicalを「健康状態の満足度」に、CareerとSocialは1つにまとめて「仕事・やりがいの満足度」に置き換え、Communityは「人間関係の満足度」、Financialは「資産水準の満足度」と設定しました。そして重回帰分析では、「生活全般の満足度」を他の4つでどれくらい説明できるかを分析しました。
*Gallup, The Five Essential Elements of Well-Being, Tom That and Jim Harter, 2010,May 4 を参照
資産水準が最も大きく影響する
その結果は、
生活全般=0.165*健康状態+0.1952*やりがい+0.1807*人間関係+0.4669*資産水準+0.0563
となりました。決定係数(R2)は0.538となり、もう少し高いと良かったのですが、まあ許容範囲でしょうか。有意水準もP値も0、もしくは限りなく0に近いことから、これらに関連があることを示しています。
注目したのは、各満足度についた係数です。資産水準の満足度の係数は0.4669で、他の3つの係数はそれぞれ0.2弱でした。生活全般の満足度に最も影響を与えているのが、資産水準の満足度だということがわかるものの、私の心情(115)で紹介した通り、その平均値は2.80(「満足できる」が5点、「満足できない」が1点)と、他の3つの満足度平均をかなり下回ってることがわかっています。すなわち、生活全般の満足度のばらつきは、資産水準のばらつきの大きさが影響しているのではないかということです。
さらにそのほかの設問に対する回答も加えて重回帰分析を行ってみました。就労状況、家族構成、生活費の多さ、資産運用状況、自分が住んでいる都市を人に勧めるかどうかの推奨度などです。その結果、資産運用を行っている人ほど生活全般の満足度が高く(これは資産水準の満足度でも説明できる点ですが)、家族構成が単身ではなく、夫婦世帯である人ほど生活全般の満足度が高く、さらに退職している方が満足度が高いといった傾向も出てきました。詳細は、図表集『「60代6000人の声」アンケート調査結果、第2弾~生活に関する満足度はどこから来るのか』を参照していただくか、次回の私の心情(119)でも詳しく説明します。
資産が多いほど、資産水準の満足度は高い
図表2は既に私の心情115でも紹介したグラフですが、改めて資産水準が高くなればなるほど資産水準に対する満足度が高まり、それは生活全般の満足度にもつながっていくことを示唆しているように窺えます。