私の心情(47)―お金との向き合い方15-わが家の資産構成

「わが家の資産構成」ってタイトルだと、皆さん「おっ、野尻はいくら資産を持っているんだ」ってちょっと興味本位で読まれるかもしれませんが、さすがにちょっとそれはお話できません。でも、セミナーなどでよく聞かれますので、どんな投資をしているのかをご紹介しながら、皆さんのご参考になればと思います。

長期投資だけでは有効ではない

私のプロフィールをご存知の方は、私が社会人としてのキャリアを山一証券経済研究所のアナリストからスタートさせたことはご存知でしょう。1997年11月に自主廃業、1998年3月末退職までの16年間を日本の証券会社の調査部門で仕事をしてきました。その間は、個別株への投資のほか、自社株の持ち株会に入っているだけの資産形成でしたが、すべて失敗といっていいものです。積立投資を長く続けましたが、購入した自社株の最後は紙切れでしたので、失敗どころか大損で終わりました。

だから「長期投資は有効だ」って言い切ることはできません。「分散して、長期投資でなければ意味がない」のです。

47歳から始めた資産形成

その後、外資系の証券会社調査部に転職しましたが、そこでは多忙とコンプライアンス上の制約もあり、日本株ETFでの投資に変わりました。さらに外資系運用会社と転職して、やっと投資信託を毎月積み立てる、いわゆる「資産形成」へと変わりました。それが47歳の時です。

決して早くないですよね。資産形成のセミナーでは、資産形成をいつから始めればいいかがよくテーマになりますが、自分の経験からすれば50歳近くになってからでも十分できるものだといえます。

4つのエリアの株式投信で資産形成

ところで私のキャリがアナリストからスタートしたこともあってか、自分の中では今でも投資というとやはり株式投資が最も好きなだと思っています。とはいっても、個別株を分析して投資対象を決め、売りのチャンスも見逃さないといった投資は、仕事をして続けている限り無理だと思います。特に仕事に熱を入れれば入れるほど、そうした調べ事に時間を使うのはもったいないと思うようになり、投資信託の持つ“放っておける効用”は得難いものだと感じています。

その結果、株式に投資する投資信託だけを積立投資の対象としています。具体的には、日本株、アジア株、欧州株、米国株、それぞれの投資信託に毎月4分の1ずつ自動的に投資するという方法をとっています。

資産形成として世界株式に投資する投資信託を勧めるアドバイザーの方も多いかもしれませんが、私個人はせめてどのエリアの株式がどう動いているのかを知りたい気持ちもあって、4つのエリアの株式投資信託を組み合わせてポートフォリオを作っています。

放ったらかしの運用

分散投資はなかなか難しいものです。セミナーでその効用をいくら説明しても、終わった後の質問では、「今、保有している投信は値上がりしたけど、そろそろ売りだろうか」、「まだ保有していてもいいのだろうか」と聞かれることがよくありました。これでは分散投資をしていても個別の価格変動に振り回されてしまっていますね。

私の場合ならば、最近米国株が上がっているので、「米国株式投信はそろそろ売りだろうか」と考えるのでしょう。でも、そんなことを考えたことはほとんどありません。“放っておいている”感じですね。