私の心情(12)―地方都市移住その5-移住を検討している人としていない人の違い

地方都市移住アンケート

アンケート調査の分析メモの第4回目です。今回は地方都市移住を検討している人と検討していない人の比較から、地方都市移住を考えることの意味を探ってみたいと思います。回答者は東京・大阪・名古屋に住んでいる60-69歳の方で、移住を検討しているのは536人、移住を考えていないのは700人です。

地方都市移住を検討していると回答した人のうち53.3%がまだ働いていました。これに対して、移住を考えたことがない人は37.5%とかなり低いことがわかりました。いや、実際には移住した人、移住を検討したがあきらめた人全体2128人でもその比率は40.6%と低いことから、60歳を過ぎてもまだ働いている人ほど地方都市移住を検討しているといっていいようです(P6)。

家族構成では、面倒を見る親の存在よりも同居している子供の存在の方が、移住の検討に影響があるようです。もちろん、子どもが同居していない方が地方都市移住を考えやすいということです(P8)。
また、移住を検討している人の方が移住を考えたことがない人より、「現在の保有する資産で退職後の生活がカバーできる」と答えた人が76.1%対70.2%と多くなっています(P9)。ただ注目しているのは、「足りない」と考えている人(29.8%対23.9%)の対策です。移住を考えたことがない人は「生活を切り詰める」と「長く働く」だけで対策の83.3%を占めますが、移住を検討している人はその合計が78.9%に下がって、代わりに「資産運用」の比率が8.3%と高くなってきます(移住を考えたことがない人は4.3%)(P10)。資産運用の経験があると答えた人の比率は、移住を検討している人で70.6%に達しているが、移住を考えたことがない人では51.9%にとどまっていま(P11)。

総じて言えることは、移住を検討している人は、退職後の生活のために、継続雇用、転職など、長く働くための選択肢を多様に検討していること、さらに資産運用にも積極的なことにあります。これに対して、地方都市移住を考えたことがない人は、現在の保有資産では退職後の生活はカバーできないと考えているにも関わらず、継続雇用を求めて、公的年金に依存する生活を念頭に置いているようです。資産運用の経験が乏しく、生活改善は食費を切り詰めながら行う、といった姿が顕著に出ています。