私の心情42―お金との向き合い方10-定年とフィンウェル研究所の設立

私の心情42―お金との向き合い方10-定年とフィンウェル研究所の設立

 60歳定年も悪くない

最初に大幅な年収ダウンの話を切り出されたときは確かにショックでした。「これが定年か」と思いました。私の誕生日は1959年4月ですので、昨年4月末で定年を迎え、従来の雇用契約はいったん解消されて、その年の5月から1年契約の継続雇用がスタートしました。

しかし60歳定年も悪くないとつくづく思っています。60歳で定年を迎えることはその先まだうまくすれば10年以上働けます。この段階で、その後の人生設計を考えることのできるわけですからポジティブです。もし65歳であれば、きっともっと弱気な計画になったと思います。

定年で仕事をやめてのんびりした人生を送る、ということを全く考えていませんでした。「ともかくまだ働こう」が前提で、どうやって働くかが最初の課題です。それと、もっと自分の好きな分野に時間を割こうという点も重要で、好きなことをまだまだ長くやり続けながら、少しだけ生活費を稼ぐようにする、そんな身勝手な方法はないかと考えたわけです。

複業で「退職者のためのお金との向き合い方」を発信

そのため、継続雇用で働くのは週3日にして、残りの2日を自分の会社を作って、私個人の興味のある分野に絞って活動を続けることにしました。どちらも重要なものですから、私にとってこれは「副業」ではなく、「複業」と考えています。

私の興味のある分野は、退職世代のための“お金との向き合い方”を考え、発信していくこと、これはよく言われるThought leadershipのひとつです。私はこれまで、「老後難民」、「逆算の資産準備」、「定率引き出し」、「Decumulation」といった言葉や考え方を世に問うてきました。そのいずれもが日本では新しい考え方や気づきだったと自負しています。これがThought Leadershipです。これをさらに運用の枠にとどまらず、「退職とは何か」、「地方都市移住」、「独立的な資産運用アドバイス」など広く考えていきたいということです。広い意味での“お金とどう向き合うべきか”のThought Leadershipといってもいいかと思います。

フィンウェル研究所で地方都市移住アンケート、IFAの本の上梓など

そのため新しい仕事の足場として、合同会社フィンウェル研究所を立ち上げました。フィンウェルはFinancial Wellnessを短くしたFinwellです。家計の金銭的な健康度のことですが、私はこれを退職世代に特化して考えていこうと思っています。

具体的な活動としては、2019年冬に「地方都市移住のアンケート調査」を2000人規模で実施しましたし、その後実際に移住をされた方へのインタビューも行いました。今はコロナ禍でインタビューも中断していますが、またいつか再開できればうれしいと考えています。

また、英国のIFA、独立的な資産運用アドバイザーといった業務は超高齢社会の日本では一段と求められます。しかし、まだ日本には根付いていません。私はアドバイザーではありませんし、なりたいわけではありませんが、より客観的にその重要性を伝えられる立場に自分を置こうと思っています。そこで、今月には「IFAとは何者か アドバイザーとプラットフォーマーのすべて」(一般社団法人金融財政事情研究会)と題する共著を上梓します。

ドワーフ

そうそう、退職職記念して絵を1枚買いました。白雪姫と7人の小人の絵です。普段は買い物など優柔不断な方ですが、今回は女房からは買う時に「かなり即決じゃない?」といわれました。7人の小人が主役の絵だったのが気に入りました。「まだまだ金鉱堀りを続けよう」って自分の気持ちにもつながったのが即決させたのだと思います。まあ、ちょっとした決意表明みたいなものです。