私の心情(38)―資産活用アドバイス14-英国の投信販売ルートが変わった!

英国の投信販売ルートが変わった!

2000年くらいにスタートしたファンド・プラットフォーム・ビジネス

コラム(32)で説明したRDRと呼ばれる英国の手数料制撤廃の議論は2000年にスタートしました。実はこの年は、英国でファンド・プラットフォームという業態がスタートした年でもあります。最初のファンド・プラットフォーム企業は豪州の保険会社の英国法人であったTransactと世界的な資産運用会社であるFidelity Internationalといわれています。

IFA(独立系ファイナンシャル・アドバイザー)によるアドバイス業務の拡大や自助努力を進める金融政策なども後押しして、この業態は急速に投資信託の主力販売チャネルに成長しました。英国の投信販売チャネルは、そもそも①運用会社が直接投資家に投資信託を販売する直販と②仲介する販売会社を経由するものでした。これにファンド・プラットフォームが登場して、③投資家が直接プラットフォームを使う経路と④IFAを経由してプラットフォームを使う経路が新たに登場してきました。

IFA経由ファンド・プラットフォームが最大チャネル

2000年の時点では、プラットフォームを使う経由での投資信託の販売シェアはゼロです。英国投信協会(The Investment Association)の統計によると、2010年には、投信の総販売額1235.9億ポンドのうち32.6%がファンド・プラットフォーム経由の販売ですから、10年でシェア3割まで拡大しました。そこから4年たった2014年にはシェアが5割に達し、さらに5年後の2019年には販売総額は5割増えて2564.1億ポンドに達しました。現在でも総販売額シェアは49.4%を維持しています。ちなみに、販売チャネルのシェアが50%に達したのは2014年ですから、販売手数料制の廃止(RDR)による影響も出ていることがわかります。

ちなみに、同協会の統計によると、総販売額は2010年の403億ポンドから2019年の1266億ポンドまで、10年間で3.1倍に達しています。またファンド・プラットフォーム大手5社の預かり資産総額も2020年の1070億ポンドから2019年には2984億ポンドへと、2.8倍に拡大しています。

IFA経由ファンド・プラットフォームが最大チャネル

ところで業界では前述の③と④の比率は4対6くらいといわれています。それを前提にすると、プラットフォームを使ったIFA経由の販売は、全体の3割程度のシェアと推定されます。最も大きな販売チャネルになっていることがわかります。

ちなみに、④のチャネルの主力になるのが、IFAが利用できることを前提とした業態はアドバイザー型プラットフォームと呼ばれ、その大手はAegon、Fidelity、Quilter、Transact の4社です。ちなみに、各社とも市場シェアは20%未満といわれています。また③に当たる消費者がIFAなどを介さず直接取り引きする業態(D2C Platform)のトップ企業はHargreaves Lansdownで、市場シェアは40%とみられています。また、データは少し古いのですが、英国投信協会のデータではこの大手5社の2014年の総販売額に占めるシェアは72%と報告されています。