私の心情(34)―資産活用アドバイス11-夢:個人金融資産4000兆円を支える5万人のIFA

夢:個人金融資産4000兆円を支える5万人のIFA

個人金融資産4000兆円にむけて

このコラムの第27回に「個人金融資産4000兆円を目標に」というタイトルで、“2040年に向けて個人金融資産を倍増する目標を政府も民間も共有できないか”ということを書きました。英国も米国も2000年から2020年までに個人金融資産を2-3倍に拡大させていますが、その間、日本は3割弱増えただけでした。これでは世界一の高齢化水準の国としては心もとないばかりです。そこで、今後20年間で、過去20年間に英国、米国が成し得た個人金融資産の倍増を目指そうということです。

そのために重要な視座は2つあります。若年層の資産を増やすための資産形成と、退職者世代の資産を安易に減らさない上手な資産活用です。フィンウェル研究所は、後者に力を入れていますが、それを実現するためには、専門家のサポートが不可欠です。特に、加齢に伴って自分でできることが少なくなるにつれ、専門家のサポートは不可欠になります。このあたりの整理は、コラム第23回「Decumulationとファイナンシャル・アドバイス」、第25回「取り崩し金融サービス」にまとめていますので、改めてご参照ください。

この専門家こそのIFAであって、そのサービスこそロボアドバイスでは代替しきれない、人が介在せざるを得ない分野だと思っています。

IFAを主要都市に5万人規模で

高齢化の課題は日本全国で起きています。大都市よりも、地方の方がその課題は大きいかもしれません。特に資産を持った高齢者という視点でみると、大都市にそのニーズが多いのは間違いありませんが、地方都市においても意外に多くのニーズがあるように感じます。そのため、IFAへの需要は、その課題が認識されるにつれて、大都市だけでなく、地方都市にも広がっていくのではないかと思っています。

その時代に、IFAはかなりの数が求められることになると思います。コラム第28回と30回で示した通り、英国のIFAは5000社、2.7万人が登録されています。英国の個人金融資産は6.5兆ポンド。1ポンド140円で換算すると910兆円ですから、ざっくり日本の個人金融資産1900兆円の半分です。総人口は6600万人で、日本の1億2000万人に対して、こちらも約半分です。その規模感からすれば、日本でのIFAの数は英国の2倍くらいあっても不思議ではありません。

5万人といったところでしょうか。ちなみに、日本フランチャイズ・チェーン協会の発表によると、全国のコンビニエンスストアは5.5万店あるというわけですから、規模感からすれば、街のIFAはコンビ二くらい目にするものということになりますね。

IFAを支えるプラットフォーム・ビジネス

コンビニエンスストアのビジネスを裏側で支えているのが、品ぞろえを確保する物流業です。IFAの業務を同じように支えているのが、英国ではファンド・プラットフォーム・ビジネスといっていいでしょう。

英国のIFAビジネスは5人以下のアドバイザーで経営している小規模の事業者が9割を占めています。こうした事業者は、口座管理から注文の執行やコンプライアンスなどのバックオフィス業務、アドバイス業務のためのレポート作成等のミドルオフィス業務などをすべて自前で行うことは不可能ですから、これらをアウトソースしています。これを担う専門の業者が、いわゆるファンド・プラットフォーム業者だと考えていいでしょう。